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​​甘め、時々ビター、アダルトなポップの真髄。
​シンガーソングライター 永井健 アルバム『Weathers』デザイン
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歌うことを生業にしている方は、当然、歌が上手だ
歌が上手なアーティスト仲間にも〝歌うまおばけ〟と呼ばれているという。
おそらくトレードマークなのだろう、黒いハットに黒縁メガネがお似合いで、
朗らかに笑いながら、新しい楽曲のCDを手渡して下さった。
シンガーソングライター永井健さんとの出会いは数年前。
当時担当していたラジオ番組は、食や旅をテーマにしていて、
毎回ゲストの方にはそれに因んだ話題やお土産を持って来ていただいていた。
個性が光る中、お土産に、バスケットに入れたパンとジャムを持って来て下さった永井さん。
毎回番組のテーマにノリノリで、ご自身が番組に出演されていない放送回にも、
SNSでリアクションを下さる、気取らないあったかい方。
一方で、歌声はどちらかというとかなりアダルトな雰囲気。
ウィスパーな声も、スコーンと抜けるような太い声も自由自在。自分の声を熟知しておられる。
思わずインタビューでこう言ってしまった。
「永井さん、こんなに声も出て、表現力もあって、歌っていて気持ちいいでしょう?」
「まあ、そうですねぇ。」はにかみ笑い。(すばらしい!さすが自他共に認める歌うまおばけ)
永井さんの魅力をもっと伝えたいなぁ。
そんな想いがある中で、まさに絶好のタイミングを永井さんが私に下さった。
「6月1日にワンマンライブをするんです。そこで新しいアルバムをリリースします。」
そのジャケットデザインをお願いしたいという、願っても無いオーダー!
何故ならジャケットデザインは私の夢の一つだったから。
​そして永井さんの世界観を伝えるのに、デザインの力が後押ししてくれると感じたから。
天気をテーマにした今回のアルバム『Weathers』。
リードトラック「雨の魔女」の音源を早速聴いた。アコースティックなバンドサウンド。おしゃれ!
イントロのギターのフレーズは、まるで雨がぱらぱらと窓にあたるような小気味好い音。​
ビジュアルのイメージが浮かんで来た。
ピンクとブルーの部屋にピクチャウィンドウがひとつ、雨模様の街が切り取られている。
外の現実とファンタジックな雰囲気の室内の対比で、
永井さんの楽曲のポップさとアダルトさ、両方が出せればいいなと思った。
アルバムデザインを作るにあたって、永井さんにいろんな話を伺った。
子供の頃、学生時代、好きな音楽、声が出なくなった時のこと。
歌が上手いのは勿論、音楽のルーツやこだわりももっと伝わりやすくするために、
グッズのデザイン、コピーライティング、メディア向けのプロフィール資料づくりを​
一式任せてほしいとお願いした。
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デザインやブランディングは、インタビューに似ていると思う。
沢山話をして、質問と答えのキャッチボールをしていくと、相手の好み、想い、迷いが見えてくる。
こう言っているけど、本当はこっちが好きなのかも。こっちの方が合っているかも。
方程式や正解があるものではないが、そんな会話を経て提案したものに、
「しっくりきた」「なるほど!」というリアクションが見られると心底嬉しい。
そして何より、「これ好き」と言ってもらえることが何より嬉しい。
6月1日、たくさんのファンの方でいっぱいのライブハウス。
永井さんは、アルバムのジャケットに合わせて、ピンクのシャツに青いパンツでステージに居た。
満面の笑みを讃えて。バンドメンバーに支えられて。
ことばを一つひとつ選びながら、天性と努力の声で歌を届けながら、
あふれんばかりの感謝を伝えていらっしゃった。
永井さんは、ミュージシャン仲間とファンに愛されながら、
これからも良い楽曲を沢山生み出していかれるだろう。
​長く愛される〝ニューフォーク〟なアルバムが沢山の方の手に渡っていて、
私も、我が子を送り出すような気持ちです。
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